ストーカーに狙われてると感じたら、どうすればいいの?
ストーカー規制法は2000年に施行されましたが、警察へのストーカー相談件数は減る気配がありません。
何をするか分からない、卑劣なストーカーから自身を守る対策はあるのか、探偵に頼むと具体的にはどんなことをしてくれるのかを紹介していきます。
ストーカーと戦う「ストーカー規制法」
ストーカー規制法がSNSも「つきまとい行為」に
1999年に桶川市で起こった、凶悪なストーカーによる殺人事件をきっかけに、ストーカー規制法が施行されました。
そして内閣府男女共同参画局によると、2016年に受け付けたストーカー事案としての相談件数は22,823件(前年比8.2%増)で、2年続けて20,000件を超えるという高い水準にあります。
これは、2016年5月に小金井市で起こったストーカー殺人未遂事件を受けて、もしかしたら将来にストーカーとなってしまうかもしれない事案の把握を徹底したからと考えられます。
小金井市の事件では、警察が被害者から相談を受けたにも関わらず、SNSの書き込みはストーカー規制法の「つきまとい行為」に該当しないため、緊迫性は高くないとし、ストーカー案件を扱う「人身安全関連事案総合対策本部」に報告しなかったことが問題となりました。
これを受け、ストーカー規制法はSNSなど電気通信を使った付きまといを広く定義し、規制できるように改正されました。
どんなことをしたらストーカー行為になるの?
「つきまとい等」を繰り返すストーカー行為者に警告を与えたり、悪質な場合逮捕することで被害を受けている方を守る法律です。
「ストーカー規制法とは」 引用元:警視庁
ストーカー規制法で規制される対象となる行為は、「つきまとい等」「ストーカー行為」の二つですが、さらに具体的な規制の対象となるのは以下の8点です。
ア つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき
イ 監視していると告げる行為
ウ 面会や交際の要求
エ 乱暴な言動
オ 無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等
カ 汚物などの送付
キ 名誉を傷つける
ク 性的しゅう恥心の侵害
「ストーカー規制法」 引用元:警視庁
警察は上記のようなストーカー行為をするものに対して、ストーカー規制法に基づく「警告(第4条)」を行い、それでもまだストーカー行為をやめない場合には「禁止命令(第5条)」が発動されます。
禁止命令に従わない場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
探偵はストーカーからの依頼を受けるのか?
探偵はその職業柄、人探しなどを探偵業務として行っているため、ストーカーからの依頼であっても引き受けてしまうのか、探偵は犯罪行為の手助けをしても罪にならないのか、探偵業法と合わせて、実際にあったケースをご紹介します。
ストーカーが探偵を雇った「逗子ストーカー殺人事件」
2012年11月、神奈川県逗子市の女性が元交際相手の男に自宅で刺殺され、その後男が自殺した「逗子ストーカー殺人事件」は、警察の不手際や探偵がかかわったことで当時非常に話題となりました。
ストーカーの男は、元交際相手の女性が結婚したことを知ったことで嫌がらせをするようになり、メールなどで「殺す」などと脅迫した容疑で神奈川県警に逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けました。
このとき、捜査員が逮捕状を読み上げる際に女性の結婚後の氏名や住所の一部を読み上げるなどしたことで、男が女性の結婚後の住所を知ってしまった可能性があります。
有罪判決後も男は、1,089通におよぶ大量のメールを送りつけ続けましたが、当時のストーカー規制法は執拗なメール送信は「つきまとい行為」に該当せず、摘発されませんでした。
ストーカーの男は、女性の詳細な住所を知るために探偵を雇い、探偵は逗子市役所に女性の夫を装って電話をかけ「家内の税金支払いが請求されているが住所はあっているか」など質問し、応対した市役所職員から住所を聞き出したのではないかとされています。
また、さらに探偵はガス会社に電話をし、「料金を払っているのに請求書が届いた」などと言いがかりをつけ、やりとりの中で名義人の氏名を聞きだしました。
これにかかわった探偵2人は「偽計業務妨害罪」と「不正競争防止法違反(営業秘密侵害)」の疑いで逮捕されました。探偵はストーカーの男からの依頼からわずか2時間で女性の住所を調べ、回答したといいます。
違法な手段を使えば、個人情報はこんなにも簡単に漏れてしまうのでしょうか。不幸なことに、その個人情報を手にしたのが凶悪なストーカーでした。
悪徳探偵が受けたストーカーからの依頼によって、一人の命が奪われる結果になったのです。
探偵はストーカーの敵なのか見方なのか
探偵業法では、依頼者からの調査が違法行為や犯罪にかかわると分かったら、調査を行ってはならないと定められています。
(探偵業務の実施に関する規制)
第9条 探偵業者は、当該探偵業務にかかわる調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱い、その他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。
「探偵業の業務の適正化に関する法律」 引用元:総務省行政管理局
大手のしっかりとした探偵事務所であれば、ストーカーなどの犯罪行為に加担するような調査は一切受けてもらえません。
むしろストーカー被害者のために、ストーカーの身元を調べたり、行動を調査したりするなど、警察と協力し、ストーカー被害者の力になってもらえる探偵事務所も多く存在します。
違法調査を平気で行う探偵事務所も存在しますが、法外な値段を請求されることも多いため、探偵事務所を選ぶときは、「違法調査はお断りします」と明記された探偵事務所をおすすめします。
探偵とストーカーの違いとは?ポイントは「恋愛感情」
探偵が行う「尾行」「張り込み」などの行為は、ストーカーと同じでは?と思われる人もいるかもしれませんが、そうではありません。
ストーカー行為とは、「同一の者に対し、つきまとい等を繰り返して行うこと」と規定されています。
ストーカー規制法によると『「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する遺恨の感情を充足する目的』(第2条)とされていて、恋愛感情やその他好意の感情があることが条件となりますので、探偵は依頼者と契約した上で仕事として調査を行っているので、ストーカー規制法の対象とはなりません。
(定義)
第二条 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
「探偵業の業務の適正化に関する法律」 引用元:総務省行政管理局
また、探偵業法第2条においても、聞き込み、尾行、張り込みは探偵業務として探偵業法で認められています。
探偵が教えるストーカー行為への対策
ストーカー被害に遭ってしまったら、知人ではない場合は特に、ストーカーが誰なのか、どこに住んでいるのかなど知りたいけれど、自分で行動するのは怖いという人がほとんどだと思います。
そこで、ストーカー行為への具体的な対策を探偵に依頼した場合、どのようなことをしてくれるのか見ていきましょう。
探偵はストーカーの「身元調査」と「行動調査」を行う
大手探偵事務所の第一探偵事務所では、まずは現状把握を行うために「監視調査」を行います。監視調査を行うことで、ストーカーの所在、行動の把握が行えます。さらに、具体的な「身元調査」や「行動調査」を行います。
身元やつきまといの証拠さえあれば、警察に相談することができ、早期解決につながります。また、告訴を行えば、ストーカー規制法違反として相手を検挙することもできます。
自分でできるストーカー対策はあるの?
ストーカー被害にあっている可能性がある場合は、自分でもできる対策を日頃から行っておくことが大切です。大手探偵事務所で推奨しているストーカー対策を紹介します。
・ゴミは収集日に出し、郵便物や請求書関係は必ずシュレッダー(裁断)してから捨てる
・ポストに郵便物等は残さないようにする
・管理人には不審者について相談しておく
・ドアスコープは使用するとき以外、室内側からふさいでおく
・決して一人で対処にあたらない
・嫌がらせなどの行為を受けたことは時系列で記録(現物・画像)し、証拠保全を心がける
・帰宅経路で逃げ道や緊急避難できるところを確認しておく
(明るいところや、集合住宅など確実に人がいるところ)
・玄関ドアを開ける際にはドアスコープを確認の上、ドアチェーンを掛けてから開ける
・オートロックを解除する際に、見かけない人がいたら解除しない
・一人歩きの際は防犯ブザーを手に持って歩く
「ストーカー調査」 引用元:アイヴィ・サービス
ストーカーに狙われている恐れがある人は、FacebookなどSNSを頻繁に更新している場合は使用を中止し、予定などは書き込まないようにしましょう。
ストーカーがSNSに気付いたら、行動範囲がばれてしまう可能性があります。
本当に身の危険を感じたら、探偵事務所だけではなく、警察にも早急に相談しましょう。
ストーカー対策まとめ
・ストーカー規制法は、つきまとい行為を繰り返すストーカー行為者に警告したり、悪質な場合は逮捕したりすることができる
・ストーカーからの依頼を受ける悪質な探偵事務所も存在する
・探偵の尾行は、ストーカーと違って探偵業法で認められている
・探偵事務所の中には、ストーカー被害者から依頼を受けるとストーカー行為者の身元調査や行動調査をしてくれるところもある
・ストーカー被害にあっている人は、日頃から緊急時に備えて対策をする必要がある
ストーカー規制法は、ストーカー被害者を守る法律ですが、警察は緊急性があるケースでなければすぐに動いてくれない可能性もあります。
ストーカーに遭っている人は、警察に知らせているからと安心せず、日頃からストーカーがあらわれたときのために対策を採ることが必要です。悪質なケースであれば、ストーカー対策を行っている探偵事務所に依頼すれば、身元調査や行動調査などを引き受けてくれます。
一番してはいけないことは、誰にも言わずに一人で耐えることです。ストーカー被害にあっている場合は、すぐにでも信頼できる人に相談し、警察や探偵などに対策を依頼しましょう。
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